母の貯金は90万円ほどだった|がん保険が守ってくれたもの

遺族の暮らし

母が亡くなったあと、通帳を整理していて分かったことがあります。

母の貯金は、90万円ほどでした。

決して裕福な家庭ではなかった母が、なぜそれで足りたのか。

以前の記事で、母から「お金のことは心配しなくていい」と言われたことを書きました。あのとき言われた言葉の意味を、私は亡くなったあとになって、ようやく実感することになります。

今回は、そのことを振り返って書いておこうと思います。

母の実家は、裕福な家庭ではありませんでした

母の実家は、八丈島にありました。

祖父は土地を持ってはいましたが、それほど価値のある土地ではなかったと聞いています。

祖父はその土地で農業を営み、生計を立てていました。

大きな畑を持ち、裕福に暮らしていた、というような話ではありません。

島で、地に足のついた暮らしをしていた。

母の実家は、そういう家でした。

母自身も、多くを稼いでいたわけではありません

離婚後、母は実家に戻り、そこから介護職員として働いていました。

実家暮らしだったので、家賃はかかりませんでした。

それでも、介護職員の給料は、それほど多いものではなかったはずです。

派手な暮らしをしていたわけでも、贅沢をしていたわけでもありません。

普通に、地道に働いていた。

そういう母でした。

亡くなったあと、母の貯金が90万円ほどだったと知りました

がんが分かってから、約2年。

母は入院と自宅療養を繰り返しながら、治療を続けていました。

そして、亡くなったあと。

私は母の通帳を整理することになりました。

残っていた貯金は、90万円ほど。

正直、多い金額ではありません。

裕福な家庭ではなかった母が、2年におよぶ闘病を経て、それだけの貯金を残していた。

そのこと自体、私には少し意外でした。

それでも、私が払ったのはほとんど交通費だけでした

治療費はどうなっていたのか。

実は、私自身が実際に負担したお金は、ほとんどありませんでした。

私が払っていたのは、東京の病院へ通うための交通費くらいのものです。

新幹線代。

宿泊が必要なときの宿泊費。

それくらいでした。

治療費そのものを、私がまとまった額で負担したことはありません。

がん保険に入っていたから、家族は守られていた

以前の記事にも書きましたが、母は生命保険とがん保険にずっと加入していました。

がんと診断されたときの一時金。

入院や通院にかかる費用。

抗がん剤治療にかかる費用。

そうしたものが、がん保険の特約でカバーされていたのだと思います。

正直なところ、当時の私は、保険の内容を細かく把握していたわけではありません。

母が「お金のことは心配しなくていい」と言った、その言葉の裏側に、長年かけ続けてきた保険があったのだということを、私はあとになって知ることになります。

「お金のことは心配しなくていい」の意味が、今は分かる

がんが分かった電話で、母はこう言っていました。

「お金のことは心配しなくていい」

当時の私は、その言葉をそこまで深く受け止めてはいませんでした。

介護の仕事をしていたから、自分が病気になったときのことを考えていたのか。

子どもたちに金銭的な負担をかけたくなかったのか。

母が何を考えて保険に入り続けていたのか、今となっては本人に聞くこともできません。

ただ、結果として、母の言葉どおりになりました。

90万円という決して多くはない貯金と、私が払った交通費だけで、2年間の闘病は終わりました。

裕福ではない家庭でも、保険があったから、治療費で家計が大きく崩れることはなかった。

それが、母が亡くなったあとになって、私が実感したことです。

振り返って思うこと

保険という言葉は、元気なうちはどこか遠いものに感じます。

私自身も、母ががんになるまで、がん保険について真剣に考えたことはありませんでした。

でも、実際に家族が病気になったとき、お金の心配をせずに治療に専念できるかどうかは、その後の暮らし方を大きく左右します。

母の実家は裕福ではありませんでした。

母自身の給料も、決して多くはありませんでした。

それでも、長年かけていたがん保険のおかげで、90万円の貯金と交通費程度の負担で、2年間の闘病を乗り越えることができました。

もし保険に入っていなかったら。

そう考えると、あのとき母が「お金のことは心配しなくていい」と言ってくれた意味の重さを、今はもっと理解できるようになった気がします。


【この記事について】

この記事は、母が大腸がんになった際の私自身の経験を、当時の記憶をもとに書いています。記憶に基づいて書いているため、金額や当時の会話等について一字一句を正確に再現するものではありません。個人や医療機関を特定できる情報は掲載していません。

保険の内容や保障範囲は、加入している保険会社やプランによって異なります。具体的な保障内容については、各保険会社または専門家にご確認ください。